第2回:曖昧さの美学
機微(きび)のいろ:第2話
空気(くうき)を読(よ)むという不可視(ふかし)の会話術(かいわじゅつ)
「空気を読む」という表現は、日本ではあまりにも自然に使われていますが、外国人にはたいへん難しい概念のひとつです。
そもそも、会話は言葉でするものでは?それなのに、なぜ「言われないことを読む」のか。これこそが、日本の言語文化の特徴、つまり「機微」なのです。
表情や間の気配
ビジネスの会話で、相手がためらっているような気配をしている時。こちらは、その心理を「空気」として読み取り、何か言おうとした言葉を止める。または、勉強中の学生が難しそうな表情をしていれば、サポートしてやる。
これはすべて、相手の気持ちを「察し」、それに合わせて行動を調整しているからなせる業。
「言葉にしない」やさしさ
日本の文化には、わざわざ言わない、あえて言わない、そんなやさしさがあります。
「何も言わず」の中にも、小さな機微が続いているのです。それを感じ、読みとる。これぞ、日本語の真魅力なのかもしれません。