第4話:和をもって尊しとなす
機微(きび)のいろ:第4話
「和(わ)をもって貴(たっと)しとなす」──調和の精神
「和をもって貴しとなす」とは、聖徳太子の言葉(ことば)として有名ですが、この精神は今(いま)もなお、日本(にほん)の文化や人間関係に深く根づいています。
和とは、ただ争いをさけることではなく、相手と気持ちを通わせ、協力して物事を進めていこうとする姿勢そのものです。
「出るくいは打たれる」の背景
日本では、集団の和を乱すような言動は避けるべきとされがちです。そのため、自己主張が強すぎると、「出るくいは打たれる」と警戒されることもあります。
これは個人の意見を軽視しているわけではなく、全体の調和を大切にするという価値観からきています。
「空気を読む」と「和の文化」
「空気を読む」という表現も、この「和」の文化と深く関係しています。
話し合いの場面で、あえて反対意見を口にしないのは、場の雰囲気を壊さないための配慮とも言(い)えるでしょう。
外国人との価値観のちがい
欧米では、意見を述べることが個人の尊重とされますが、日本では、和を乱さず、空気を読んで発言することが重視されることもあります。
この違いは、外国人にとって戸惑いの原因となることもあります。
未来の和──バランスのとれた共生
今後は、「和を大事にする心」と、「意見を伝える勇気」の両立が重要になってくるでしょう。
和とは、同調ではなく共感である──この考えが広がれば、多様性を受け入れながらも調和のとれた社会が実現できるかもしれません。