第5話:言わぬが花

機微きびのいろ:第5話

言葉ことばにしないやさしさ

日本にほん文化ぶんかには、直接的ちょくせつてきあらさないやさしさがふかづいています。

たとえば、つかれているひとたいして「だいじょうぶ?」とわりに、おだやかな口調くちょうで「こんなときは無理むりせんでええねんで」とうような表現ひょうげんがそれにたります。

にじ態度たいど

これらは、やさしさをけるのではなく、「一緒いっしょにいること」や「理解りかいしようとすること」を重視じゅうしする態度たいどあらわれでもあります。

こういった機微きび的なやさしさは、日常にちじょう会話かいわなかしずかにがれています。

つたえるのは言葉ことばだけではない

たとえば、あたたかいお茶おちゃをそっとす、教室きょうしつ黒板こくばんくといった行動こうどうは、言葉ことばにしない気遣きづかいやおもいやりをつたえる手段しゅだんとして機能きのうしています。

このような「非言語ひげんごのメッセージ」は、日本にほん人間関係にんげんかんけいふかそう根付ねづき、たがいをおもいやる価値観かちかんささえています。

総括そうかつだまっているなかには意味いみがある

日本にほんでは「だまっていること」はよわさや遠慮えんりょではなく、かんがえる、まる、または慎重しんちょうといったむねうちにある動機どうきとして解釈かいしゃくされます。

言葉ことばにしなくてもつたわる、そんなやさしさもあるのです。